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デルス・ウザーラ(1975年、日本映画)


Photoshop アートヒストリーブラシ
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NHK BS2で、 ”没後10年 黒澤明特集” を放映している。

その中から、「デルス・ウザーラ」(1975年の映画)を見た。


ゴリド人、デルスは、

大きな荷を背負い、

猟銃と杖を持ち、

地図もまだないようなロシアの森や平原で、

何十年も生きてきた。


空を見、足跡を見、臭いをかぎ、

手持ちのわずかな道具を工夫して、身を守る。


大自然の中で、

特にロシアの極寒の冬空の下、

生き延びるための

彼の知恵に、感服する。


デルスには

電気もガスも水道も家電製品も家もいらない。

お金も、ほとんど使わない。

弾とわずかなウォッカを買うくらいだ。


後半、デルスは視力を落とし、

町に来たが、

適応できず、再び山に戻り、

そして死んだ。


詳細な死因は伏せるが、

”文明”が、結果として彼を殺した、

という解釈でいいのだろうか。


いずれにせよ、

視力を落としたデルスは

山で生き続けることは困難と思われ、

遅かれ早かれ死んだのだろう。


大自然の大きな営みの中で、

生まれ、生き、死ぬことは、必定であり、


デルスはその生まれ持つ運命の中で

生きて、死んだのだろう。


デルスは言った。

太陽を指さして。

「あの人、一番偉い人。

あの人死ぬ、人間死ぬ」


デルスはこうも言った。

「風、水、火、みんな生きている。

風、怒ると怖い。

水、怒ると怖い。

火、怒ると怖い」


視力を落とし、

誰よりもすぐれた猟師だったデルスは、

その腕もまた失った。


だが、デルスが最初に考えたのは、

猟師としての誇り、ではなかった。

このままでは自分は死ぬ、

そう考えた。


生きるために彼は、

町にある、親友の家に身を寄せた。

彼のそうした行為は、とても自然なことに感じられた。


自尊心がどうの、という考え方は、

そのときわたしの中で、

とてもちっぽけなものに感じられた。

そのように、デルスに教えられたように思う。


今のこの世界の不況に思いを馳せ、

そして願う。


どうか

貧乏=不幸と思わないでほしい。


デルスに直接会って聞いてみたい。

デルスはきっとこう言うだろうと思う。


「お金がない、不幸、違う。

寒い、不幸、違う。

暑い、不幸、違う。

食べものがない、お腹すく、でも、不幸、違う。

親死ぬ、悲しい、でも、不幸、違う」


私のお気に入り、「佐賀のがばいばあちゃん」も、 きっと同じことを言うね。



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