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母のいる場所(2003年、日本映画)



痴呆になられた方を、”おわかりにならない方”とお呼びする。

入居されているお年寄りを、お客さまと呼び、ホテル感覚で暮らしていただく。


そんな、お年寄りのための施設に、

母親を預けることになった、ノンフィクション作家(久田恵さん)。

その体験談が本になり、映画になった。


それが、「母のいる場所(映画)」だ。


映画の中で。

人形を姪と信じている、”おわかりにならない女性”から、

「この子の具合が悪いんです」

と訴えられ、施設長さんは、

「お医者さまをお呼びいたしましょうね」

と。


別の”おわかりにならない男性”は、施設の大切な書類を勝手に持ち出してしまう。

ヘルパーさんが、どんなに

「返してください」

と頼んでも、かかえこんで離さない。

ところが、機転をきかせ、

「社長、その書類はわたくしが今日中に目を通しておきましょう」

と、対応したところ、

「おお、そうか。では頼む」

と、すんなり返却。


友人の話を思い出した。 同居している認知症のおかあさん。

食事をして10分もすると、 「ご飯はまだ?」 と聞いてくる。その都度 「さっき食べたでしょ!」 と答えるが、腹も立つ。 「今、用意しているから待っていてね」

と対応することで、穏やかな空気が流れるようになったとのこと。

なるほど。

わたし自身の身近な生活とつながることもあった。

最近のこと。

義母がお世話になっているヘルパーさんに、

「義母が義姉の悪口を言うんですが、どう反応したらよいのでしょう」

と、相談したところ、ヘルパーさんは、

「そういうときは、同意してあげればいいのよ。

『そうね、本当にそのとおりね』って。

そうすれば、そのうち、悪口を言わなくなるわよ」

と、アドバイスをくれたのだ。


ああ。

そうか。

やっぱりそうなんだ。


悪口に同意するのは、抵抗があった。

お義姉さんを知っているし、悪口に加担するのはいやだ。

そう思っていた。


でも、

否定せず、ありのままに受けとめることで、 義母の「負の感情」が癒され、昇華し、平和であたたかな感情で満たされ、

その結果、悪口を言わなくなるのであれば、 それが正解なのかもしれない。 そう思いなおすことができた。 映画「母のいる場所」のように、 人形を姪と信じている、”おわかりにならない女性”から、

「この子の具合が悪いんです」

と訴えられたら、

「お医者さまをお呼びいたしましょうね」

と、否定せず、真顔で受け止めるのが正解なのだろう。 認知症であっても、なくても、 人は、 「そうね。わかるわ」 と、受け止めて欲しいものだ。 反論するにせよ、いったん 「なるほど」 などと言ってもらいたいものだ。 なのに、いつも忘れる、 おわかりにならないわたし。

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